手拭い太郎

2025.08.03

1回目の訪問

「サウナのためだけに、わざわざ岩手まで?」

職場の同僚が心底信じられないといった顔で言った。彼らは知らないのだ。サウナが単なる「体を温める」箱ではなく、魂の洗濯機なのだということを。だから仕方ない。密かに「みんなはわかってないな」と心の中でつぶやいた。

盛夏の陽射しが降り注ぐ8月3日。私は仙台の自宅から車を走らせ、岩手県は北上市、夏油高原兎森の湯へと向かった。数日前の福島でのサウナ旅に失敗した、あの苦い記憶のリベンジである。芋洗い状態の浴室に戦意喪失した悔しさを晴らすため、今回は人里離れた山奥の穴場に賭けることにしたのだ。

料金は入浴料が700円、タオルのレンタル料が300円。全部込みでたったの1,000円。財布に優しいというのは、それだけで旅の成功を予感させた。駐車場に車を停め、窓を開ける。仙台市内の湿った空気とはまるで違う、緑と土の匂いがふわりと流れ込んできた。

浴室の扉を開けると、温泉特有の硫黄の香りがふわりと鼻をくすぐる。まずはシャワーで体を洗い、内湯で体を温めた後、半露天風呂へと足を踏み出した。蚊取り線香の煙と、青々とした木々の香りが混じり合い、なんとも言えない心地よさだった。湯船から見上げるそこには、言葉を失うほど見事な山の眺望が広がっていた。

そして、サウナだ。絶景が売りのサウナ室で、ちょうど午後1時にロウリュウイベントが始まった。スタッフがストーブ上の箱にアロマ水を流し込むと、熱い蒸気が立ち昇る。熱くなった体を冷ます水風呂も格別だった。スタッフさんがまるで魔法使いのように、大量の氷を惜しげもなく入れてくれる。ミントの葉が浮かぶ水はキンキンに冷えて、たまらない。

サウナ後は浴室からすぐの食事処へ。券売機でボタンを押し間違え、とろろ蕎麦が出てきたが、その豊かな香りに心底驚いた。蕎麦湯も何度もおかわりしてしまった。

福島で叶えられなかった、ささやかな夢。それが今、この兎森の湯で完璧な形で叶った。心も体も満たされた私は、車を走らせながら、もう次のサウナ旅の計画を練っていた。

手拭い太郎さんの夏油高原温泉 兎森の湯のサ活写真
手拭い太郎さんの夏油高原温泉 兎森の湯のサ活写真
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