和合の湯
温浴施設 - 静岡県 浜松市
温浴施設 - 静岡県 浜松市
土曜日の朝。まだ街が完全に目を覚ます前、私は静かに車を走らせ「和合の湯」へ向かっていた。時計を見ると8時50分。世間的には「朝の準備中」だが、私にとってはすでに“整いのゴールデンタイム”である。駐車場に滑り込み、ドアを開けた瞬間、秋の空気がふわりと香る。今日もいい日になりそうだ。
館内に入った瞬間、鼻をくすぐるのはどこか懐かしい香り。石鹸と木と湯気が混ざり合ったような、あの香り。平成初期の銭湯にタイムスリップしたかのような安心感がある。最新式のスパのような華やかさはないが、ここには「時間がゆっくり流れる空気」がある。受付の方の笑顔も柔らかく、朝から誰も急いでいない。こういう空間こそ、現代社会に必要なインフラではないだろうか。
脱衣所では、すでに地元の常連さん達が談笑中。
「あ、また来たな」という視線を背中で感じる。会話はなくても、そこには不思議な一体感がある。いわば“和合ファミリー”と言うべきか。
まずは炭酸泉へ。お湯は熱すぎずぬるすぎず、体を優しく包み込む。細かい気泡が肌にまとわりつき、まるで「おつかれさま」と言ってくれているようだ。湯の表面を見つめながら、「このまま寝たら人生が終わるほど気持ちいいな」と真顔で思う。10分、20分…時間の感覚が溶けていく。
そしてサウナ室へ。扉を開けた瞬間、もわっとした熱気が顔を包む。今日も“安定のストロング”。温度計は90度を少し超えている。けれど数字以上の存在感。浜松の中でもトップクラスの設定だと胸を張って言える。座面に腰を下ろすと、木の香りがふっと漂い、ストーブの音がリズムを刻む。常連たちは皆、無言で修行僧のような集中モード。誰も喋らないが、全員が“熱と向き合う同志”だ。汗が流れるたび、心が削ぎ落とされていく気がする。
限界を感じたら、水風呂へ。足先を入れた瞬間、「うわっ冷たっ!」と声が出る。だがその冷たさがまた快感。体全体を沈めると、脳内で打ち上げ花火がドーン!と鳴り響く。まさに“ととのい花火大会”。思考は一瞬で消え、ただの生命体に戻る。冷たいのに幸せ、苦しいのに笑顔。これを矛盾と呼ぶか悟りと呼ぶかは、あなた次第だ。
そして露天エリアへ。中庭のように整えられた外気浴スペースには、ほどよく風が流れている。椅子に腰を下ろし、空を仰ぐ。青い空、木々のざわめき、遠くで聞こえるカラスの声。すべてがBGMのように溶け合う。目を閉じれば、地球と一体になったような感覚。頭の中では「和合交響曲」が静かに流れ始める。
外に出ると、太陽が高く昇り始めていた。街はようやく動き出したところだが、私はもう“今日を制した気分”。和合の湯——それは、朝から人生をリブートできる、浜松の小さな奇跡である。
以上
男
先日のトントゥお返しに参りました!朝昼夜で表情の変わる和合交響曲、いいですね いつでも聴ける様に録音したくなります🤭
トントゥありがとうございます! 朝、昼、夜とで異なる和合の湯の雰囲気、すごく好きです。しっかりした熱さのサウナも体験出来て、良心的な料金なのも有難いです!
ありがとうございます! ワシワシあっという間に完食でした。 でも食べた後の罪悪感は言うまでも無いです(笑)
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