秋田市より北へ四十キロ。男鹿の地にあるは、森長旅館。今回の旅で、最も心躍らせていた蔵サウナを体験せんと、吾輩、車を走らせた。

この宿、現存する建物は築九十五年を超え、国の登録有形文化財。往時の蔵を改装し、サウナに仕立てたと聞けば、訪ねぬ訳にはいかぬ。

橙の暖簾をくぐると、気さくなご夫婦が笑顔にて出迎えてくれた。彼らの熱量は、ただの挨拶にとどまらず、「すべての場所にこだわりがありますからね!」と、サウナへ向かう途中まで、語りが止まぬほどであった。

ハット・ハンドタオル・大判バスタオルが料金に含まれており、マットを敷かずとも汗を持ち帰るドイツ式。奇数日は男性が蔵サウナとのことで、運もまた我に味方した。

二階にて着替えを済ませ、階段を降り、まずはシャワーを浴び、サウナ室へ。

サウナ室の三段目、ストーブ正面にて瞑想に入る。
目を閉じると、ヒバの香が鼻先に届き、心がすっと沈む。温度は九十五度、ロウリュは霧吹きで行う。
「ジュジュッ」と音を立てるその瞬間、湧き上がる熱に全身が包まれ、やがて滝のような汗が。

加えて石壁へのウォーリュも可能ときた。
惜しみなく霧を振りまき、湿度を加えれば、まさに我が心拍も百七十を超え、熱に抱かれてひとときの陶酔に浸る。

サウナ室を出て、一秒以内に浴びられるシャワーがまた圧巻である。汗を流し、左手の樽水風呂へ。水温は十三度、深さも適度。蛇口から頭へ直接水を浴びれば、「ア゛ァ゛……」と声が漏れる。これは初めての快感であった。

一階のアディロンダックチェアにて、タオルを身にかけ、瞑目す。聞こえるは水滴の音のみ。驚くほどのスピードで整う感覚。導線の無駄のなさが、その深さを演出しているのだろう。

今日は奇跡的に貸切状態であり、二時間で四セット、存分に満喫。二階のインフィニティチェアでもう一度深呼吸すれば、その場に骨を埋めたくなるほどの幸福であった。

サウナの後は、男鹿塩レモンアイスキャンデーを一口。三層構造となっており、塩味・甘味・酸味のバランスに舌が喜ぶ。加えて、無添加のザクロジュースをいただけば、「オロポよ、さらば」と思わず口に出るほど、クエン酸が体に沁み入る。

そして何より、スタッフ小山氏の語りが、この旅の余韻を深めた。彼が歩幅を測り、全国のサウナを巡り、
導線と湿度と温度と空気の流れを一つずつ検証した話には、吾輩、聞き入らずにはいられなかった。

ステッカー、サウナハット、クラフトビール、手拭いまで購入。サウナハットは数に限りあり、通常は販売もされていないという。
——もはや、森長旅館の虜である。

品質は極上、あとは認知されるのを待つのみ。
ユーランドを超える日も、そう遠くはあるまい。

湯煙漱石の「蒸されて候」さんの蔵サウナと文化財の宿 森長のサ活写真
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湯煙漱石の「蒸されて候」さんの蔵サウナと文化財の宿 森長のサ活写真
湯煙漱石の「蒸されて候」さんの蔵サウナと文化財の宿 森長のサ活写真

男鹿塩レモンアイスキャンデー

味覚が三種ものアイス。サウナ後にこれは格別である。

サウナ飯 supported by のんあるサ飯

  • サウナ温度 95℃
  • 水風呂温度 13℃
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