2025.09.30 登録
[ 香川県 ]
出張の夜、時計は22時を回っていた。
静かな駐車場に車を停めると、福壽観音がこちらを見守るように立っている。旅の終わりにこうした存在が迎えてくれるのは、不思議と心がほどけるものだ。
館内へ入り、靴を箱に納め、フロントで受付を済ませる。
とりあえず一周してみると、夜も更けているせいかレストランはすでに灯りを落としている。しかし昼間や休日には、きっと人の声と笑いで満ちるのだろうと想像できた。その理由はすぐに分かった。館内には大衆劇場がある。
かつて別の土地で一度観たことがあるが、あの空間には確かに人の歴史と文化が息づいている。いつかまた、ゆっくり腰を据えて観劇したい、そんな気持ちが芽生えた。
浴室へ。ロッカーは広く、無理がない。
洗体を済ませ、湯に身を沈めると、外の冷えと潮風でこわばっていた身体が、芯からほどけていく。
露天にあるのは、香川ならではの「釜揚げの湯」。
まるでおでんを湯がいたあとの白湯のように、文字通り白く濁った乳白色の湯。アルカリ性のやわらかな湯質は刺激が少なく、肌を静かに包み込み、しっとりと仕上げてくれる。温泉地でもそう多くは出会えない、不思議な優しさを持つ湯だった。
そしてサウナへ。
じりじりとした程よい熱。暗く、シックで、昔ながらの落ち着いた雰囲気。最近増えてきた明るく開放的なサウナとは対照的で、この静けさが心を深く沈めてくれる。清潔感も申し分なく、長く愛されてきた理由がよく分かる。
水風呂は、汗をかいた身体に素直に沁みる。
ととのいの場は三つ用意されていたのも印象的だ。
まずは、ととのいルーム。
強めに効いた空調と無機質な空間。快適ではあるが、正直なところ、心は落ち着かなかった。
次にマイナスイオンコーナー。
床の黒いタイルからイオンが発生しているとのこと。じんわりと静まってはいくが、劇的な変化は感じない。
そして最後に外気浴。
やはり、ここに戻ってくる。冷たい空気に身をさらし、体内の熱を手放す。寒さはあるが、それ以上に解放感が勝り、静かに、確かに昇天していった。
風呂を上がったあとは、上階の休憩スペースで漫画を読み、いつの間にか眠りにつく。
朝、目を覚まし、近くのうたづ臨海公園から瀬戸大橋を眺める。海と橋と空が重なり、四国にいることを実感する一瞬だった。
旅人を受け入れ、身体と時間を預けられる場所。
しおはまの湯 四国健康村は、ただの温浴施設ではなく、移動の途中に「一晩の居場所」を与えてくれる存在だった。
そして私は、湯の余韻を残したまま、次の目的地・愛媛へと向かった。
#サウナ
#休憩スペース
[ 宮崎県 ]
二ヶ月ぶりのジアース。
霧島の山に抱かれるように、再びこの地へ戻ってきた。今回は正午、雨がしとしとと降り続き、テラスには生きた水と藻が薄くまとわり、足元はひっそりと滑りやすくなっていた。自然がつくる変化は美しくもあり、時に注意を促す。雨の日のジアースは、晴れの日とは違う表情を見せる。
空気はひんやりとしていたが、サウナの扉を開くとその寒さはすぐに溶けていく。薪の熱と木の香りが静かに迎えてくれた。まずはロング缶のビールで喉を潤す。雨音を聞きながら飲む一杯は、晴れの日よりも深く身体に沁みていく。
外には、雨を避けるためのテントが整い椅子の上に張られていた。濡れた空気の中でも外気浴ができるよう、自然と人との折り合いがついている。肌寒い風が頬を掠めるたび、かえってサウナの温もりが恋しくなる。
寒さに追われるようにサウナへ戻り、熱さに耐えきれず外へ逃げる——
その往復はまるで、潮が満ち引きする浜辺でたゆたう小舟のようだった。
熱と冷、木と雨、静と動。相反するものが一つのリズムを奏でる。
雨がやまない午後、サウナの中で汗を流し、外で冷たい空気を吸い込む。何度も繰り返すうちに身体は軽くなり、思考は澄み、心は静けさを取り戻していく。
今回もまた、深く、すっきりと「整った」。
春になれば、また違う色のジアースが待っているだろう。
その季節の風と香りを味わいに、また戻ってきたい。
[ 宮崎県 ]
夕刻十五時、霧島の山あいに身を運んだ。目の前には川が静かに流れ、その浅瀬の水は透き通り、澄明な輝きを湛えていた。思わず身を委ねたくなるほどの清らかさに、まだ入る前から水風呂の魅力を悟る。
薪が燃える音に導かれサウナへ。扉を開けば、木の甘やかな香りと柔らかな熱気が包み込む。やがて柑橘の清涼なアロマを纏った蒸気が立ちのぼり、心身の垢を洗い流すかのように汗が溢れ出す。
そして、水。吸い寄せられるようにその湧水へ身を沈めた瞬間、全身が柔らかな冷たさに抱かれ、思わず吐息が零れる。自然に浄められるとは、まさにこのことだろう。川面を渡る風が頬を撫で、心が羽のように軽くなる。
外気浴では仲間とオロポを掲げ、澄み渡る空へ乾杯した。黄金色の液体が喉を滑り落ちると、体に爽快さが沁み込み、風と鳥の声がその余韻をさらに深くしてくれる。
驚きはさらに続く。案内されたサウナカーは、車がそのまま熱と香りを宿す空間となり、未来の物語を予感させる存在だった。
自然と人の営みが織りなすこの地で、時は緩やかに流れ、ただ「生きている」ことへの感謝が胸に溢れる。次は秋、紅葉に彩られた風景の中で、再びこの清冽なる水と邂逅したい。
#サウナ
#水風呂
#休憩スペース
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