たかのこの湯(たかのこのホテル)
ホテル・旅館 - 愛媛県 松山市
ホテル・旅館 - 愛媛県 松山市
2月出張。瀬戸大橋を渡り未踏の地、四国愛媛へ。
今宵の宿は「たかのこのホテル」。そして併設された「たかのこの湯」が今回の調査対象だ。
浴場に多用されるのは、愛媛の霊峰・石鎚山系から採掘されたという「流紋岩マテラ」。その高い遠赤外線放射率が謳われているが、その効果の真偽は如何に。
地下1200メートルから湧き出るという新源泉は47度。豊富な湯量のアルカリ温泉。肌の上で化学反応でも起きているかのような滑らかさだ。
水深150センチの歩行浴には、複数の老人が逆時計回りに回遊している。その規則的な動きは、ある種の儀式にも見えるし、まるでサーキットを周回するレーサーのようだ。
かつてこのホテルを所有していた人物が、スーパーGTに参戦するチームのオーナーでもあり50歳で早世した、という断片的な情報が脳裏をよぎる。
果たして彼らの行動は、故人への鎮魂、それとも無意識の模倣に過ぎないのか。私もその円環に身を投じ10周。満足した後、サウナにピットインした。
サウナは横長で広々としている。上段は90度以上。幸いにも無人だったため、備え付けのリモコンでテレビを消した。他人の領域で許可なく行動する、ささやかな背徳感。そして、その行為がもたらす完全な静寂と、空間を独占する優越感。これはある種の心理実験になり得る。
水風呂は地下水。サウナで極限まで高めた体温に対し、マテラで清められた水は静かに、しかし確実に深部まで冷却を浸透させる。その熱交換の効率は、通常の水道水の比ではない。
外気浴。鈍く光るマテラの岩に足を乗せ寝そべる。肉体が弛緩していく感覚。深い癒しと錯覚させる何かが、確かに存在する。
その時、どこからか、稲穂の擦れるような微かな笑い声が聞こえた。それは私の長旅で疲弊した脳が作り出した幻聴か。あるいは、この四国の土壌に深く根を張る、土着の神々の悪戯だったのかもしれない。
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