リトルリトリートデポ
温浴施設 - 埼玉県 さいたま市
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インフィニティチェアは56%の嘘を含んでいる。
インフィニティチェアってなんですか? 同僚からのその質問に「リクライニングがすごい椅子」と答えた。この答えが適切なのかは今もわかっていない。おそらく適切ではなかった。それ故に同僚は「無限に倒れるんですか?」と聞いてきた。無限に倒れる訳がない。つむじと踵を折り合わせて、人間紙飛行機でも作るつもりか。
インフィニティチェアのリクライニングの角度は160度程度である。それは360度のうちの44%までしかカバーしていない。頭のなかに円グラフを描いて、44%分を塗りつぶしてみる。その範囲に、なんとなく見覚えがあるなあと思う。少し考えてみて、労働時間だ、と気がついた。24時間の44%約10時間は、所定時間8時間、休憩1時間、もはや習慣となってしまった残業1時間の合計値に等しい。
ゆるやかな、くの字の先のつま先を眺める。労働時間と同じだけの割合分、背中を曲げている。仕事は疲れる。けれとも、仕事で得た賃金のおかげで、こうしてサウナに入り、インフィニティチェアに身を預けることができる。それはきっと、真っ平らなベッドの上で天井だけを眺める毎日より幸せだ。
目の前を新幹線が通る。乗っているときは硬い座席にうんざりしていたが、今は線路を鳴らす音が心地良い。身体が軽くなっていくのを感じている。今なら紙飛行機のように飛んでいけそう、なんて気さえしている。
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