四季の湯
温浴施設 - 千葉県 君津市
温浴施設 - 千葉県 君津市
ととのい値:87点
5月2日、昼。
30キロ走ったあとというのは、身体がひとつの長い物語を読み終えたあとのような状態になる。ページはすべてめくられ、残るのは軽い疲労と、どこか満たされた静けさだ。
そんな状態で君津の四季の湯に入ると、汗はまるで約束されていたかのように、すぐに吹き出してくる。
サウナ室の温度はいつもと変わらないのに、今日は身体のほうが先に準備を終えていたらしい。
「さあ、ここからが本番だ」とでも言いたげに。
ゴールデンウィークの昼。
館内には人が多く、それぞれがそれぞれの疲れや楽しさを持ち寄っている。
不思議なことに、そのざわめきは不快ではなく、むしろひとつの大きな流れのように感じられた。
人が多いのに、孤独はきちんと保たれている。
これは少し奇妙で、でも悪くない現象だ。
3セット。
1セット目は身体の残熱が主導権を握り、2セット目でようやく呼吸と意識が揃ってくる。
そして3セット目、ようやく「自分」という輪郭が曖昧になり、ただの“温度と水分のかたまり”に近づいていく。
水風呂に入ると、30キロ分の距離がすべて水の中に溶けていくようだった。
外気浴では、初夏の風がきちんと季節の順番を守って吹いている。
急ぐこともなく、遅れることもなく、ただ正確に。
この施設の良さは、いつ来ても「ちゃんとそこにある」ことだと思う。
特別なことをしなくても、身体と時間が自然に噛み合っていく。
それはたぶん、長く続いてきた場所だけが持つ静かな技術なんだろう。
帰り際、ふと「また来るな」と思った。
それは決意というより、ほとんど習慣に近い感覚だった。
四季の湯さん、今日も身体と時間を整えてくれてありがとうございました。
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