まされん

2026.07.16

1回目の訪問

富士登山の帰り道、木更津へ向かう長い運転の途中で立ち寄ったのが、富士山溶岩の湯 泉水。

時間がなかったのでサウナは1セットだけ。「今日は軽くね」と身体に言い聞かせながら入ったのだけれど、そんな約束はだいたい身体のほうが守らない。

サウナで登山の疲れを静かに蒸し上げ、汗を流してから水風呂へ。富士山の伏流水を使っているこの一杯の冷たさは、山頂で「もう一歩だけ頑張ろう」と背中を押してくれた風とは違う種類の優しさだった。疲労という名の荷物を、ひとつずつ宅配便で送り返していくような感覚がある。富士山は溶岩だけではなく、水まで育てていたのかと少し感心した。何百年もかけて山の中を旅した水らしい。僕の疲れは一日でできたものだから、勝負にならない。

露天へ出ると、今度の相手は太陽だった。外気浴をしているのに日差しが容赦ない。身体は「涼みたい」と言い、太陽は「夏を感じろ」と言う。まるで意見の合わない上司と部下の会議である。それでも椅子に腰掛けて空を見上げると、「まあ、今日はこれでいいか」という気持ちになるから不思議だ。

館内は登山客や観光客をやさしく受け止める空気が流れていて、急いでいる人にも、ゆっくり過ごしたい人にも居場所がある。富士山を登り終えた人間は少しだけ哲学者になる。でも、その哲学の九割は「風呂って最高だな」に集約される気がする。

次に来るときは時間を気にせず、もう2〜3セット楽しみたい。富士山を登った締めくくりとして、とてもいい余韻をくれる一湯だった。

素敵な時間と癒やしをありがとうございました。

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