MR.icefield

2025.07.26

4回目の訪問

隅田川に大輪の花が咲く土曜日の夜。空は清々しいほどに晴れ渡り、夏の祭典を祝福するかのような青さを湛えていた。
有楽町の映画館を出た時、なぜか胸の奥に懐かしさが宿っていた。古い映画の余韻が、記憶の底に眠る何かを呼び覚ましたのかもしれない。そんな感傷的な気分のまま、僕は足を自然とあの場所へ向けていた。筋力トレーニング、そしてサウナ。それは僕にとって、心と身体を整える神聖な儀式だった。
花火大会という都市の祭りが始まっている時刻だからだろう、いつもなら賑わう施設も今夜は静寂に包まれている。近隣の住民たちは皆、夜空に響く音と光の饗宴に足を向けたに違いない。脱衣所の大型テレビには花火中継が映し出されており、その映像越しに聞こえる歓声が、まるで遠い夏祭りの記憶を蘇らせるようで風流だった。
浴室に足を踏み入れると、いつものように湿った熱気が全身を包み込む。この瞬間の圧倒的な存在感に、毎回心が躍るのを抑えきれない。定石通り、身体を丁寧に洗い清めてから半露天風呂へと向かう。けれど今夜は、なぜか興奮が収まらない。サウナに入る前に、まず水風呂で心を鎮めることにした。
冷たい水が肌を刺すと、ようやく平静を取り戻した気がした。そして、いよいよサウナへ。
ところが、この夜は運命のいたずらが待っていた。一度目、二度目、三度目と、まるで計ったようにロウリュのタイミングでサウナに入ってしまうのだ。蒸気が立ち上がる瞬間の灼熱ぶりといったら、上段も下段も関係ない。まさに地獄の釜の中にいるような体験だった。
三度目の時、もはやこれは偶然ではないと悟った僕は、ロウリュが収まるまで一旦外で待つことにした。そこで出会ったのが、同じような境遇に見舞われたであろう一人の男性だった。
彼もまた、サウナから逃げ出してきたような表情を浮かべている。言葉を交わすことはなかったが、互いの視線が交錯した瞬間、圧倒的な共感が生まれた。同じ試練を経験した者だけが分かる、無言の連帯感。それは言葉よりも雄弁に、今夜の体験を物語っていた。
結局のところ、今日が運の良い日だったのか悪い日だったのかは分からない。けれど、偶然の出会いという意味では、確実に運の良い日だったと言えるだろう。
帰り道、隅田川の向こうで最後の花火が打ち上がる音が聞こえた。明日もまた日曜日だということに小さな歓喜を覚えながら、疲れ切った身体を家路へと向ける。
健康であることの有り難さを、改めて深く噛み締めた夜だった。
拝。

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