だっつん

2025.11.12

1回目の訪問

よくもまあ「東京」と付けたものだ。

ここがオープンすると聞いた頃にそんな風に思っていた愚かな豚をどうかお許し願いたい。

低身長ながらむくむくと肥え、シングルだった体脂肪率が2桁の大台に乗った三十路の豚であるが、最近はジムに通い体を鍛え直している。

「どの程度肥えていれば豚か」という問題に関して、この多様性の時代、「自分は豚である」と認知すればもう豚なのであるが、ここサウナ東京はまさにダイバーシティを体現したような施設だ。

受付は靴箱鍵に付いている自動清算チップ、ロッカーと連携しており入場がかなりスムーズ、仕組みが分かれば流れるように入場可能。ユニバーサルデザインとして画期的なシステム。

フロアによって会話を許可・禁止している。これは喋りたい人間をも救う多様性を追った仕組みだ。

2階のサウナ、休憩エリアは出家した感覚になるほどに静寂が漂い、高僧がひしめき、自身を高める姿を見ることができる。下界と天界ほど空気の差がある。

各部屋それぞれ修行に適した空間となっており、大部屋では1時間おきに天界人より扇ぎ鍛錬の時間が設定。がなりあづい。他にも即身仏になれるヴィヒタエリア、あらゆる苦から解放される回復の泉、ほか2部屋ある。

水行エリアは温度が3種あり、修行歴によって入り方を選べる。

休憩スペースでは課金すれば黄金の飲み物が飲み放題で、ここまで来ると本教会にカルト的に入信してしまうのではないかと一抹の不安を覚える。

さて、長々と垂れた講釈とヨダレを拭いつつ修行を開始。

修行に没頭するあまり、経過した時間にクリビツテンギョウ。精神と時の部屋か何かかと真剣に思った。

ここには飯処も在り、あらゆるメニューを楽しめる。城下町のような雰囲気で、ついつい町娘と色恋にしけ込みたくなる。

ここ東京に数多あるサウナが、「東京」と銘打うのに尻込みしてきたことは想像に難くないが、本施設がそれを胸を張って掲げることのできる理由を垣間見た。

何人も受け入れる懐の深さ、業を背負った愚か人も、仏道を志す聖人も、何もかもが一堂に会するこの施設はまさにダイバーシティサウナ。

さてさて、髪を乾かしたし出よう。ちょっと遅れちゃったかしら。まあ大体2時間だし。

自動精算機で会計しようとしたが、自身が思っていたより高い値段が表示された。どうやら延長料金が発生したようだ。

1分1秒遅れようと、それは延長。何人たりとも許しはしない。これが本物のダイバーシティかと唇を噛みつつ、もう30分修行へと赴く豚なのであった。

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