【閉店】アサヒトレンド21
銭湯 - 東京都 三鷹市
銭湯 - 東京都 三鷹市
胸焦がし熱き夢を見た吐息をいっぱいに吸ったその木目が歪んだのは己が酩酊か、別つ涙かはっきりとしなかった。
凍える体を温め、勇気の汗を拭い続けた歴史は、サウナ室の小窓から美しく微笑み、悠久の時へと旅立つ。
また「21」が一つその灯火を静かに絶やしていくーー。
11月30日に閉店が決まったアサヒトレンド21へ、最後の入湯。こちらかなりエモ極まっているため、乱文必須であります。
浴槽は電気、マッサージ、座風呂、高温・低温風呂、水風呂2種、露天風呂。
体を清めて低温風呂で体をほぐしている時に、もう既に別れに向けて準備していることに気付き、悲しい気持ちになった。
一度露天の水風呂に頭を冷やしに。
天然の井戸水は体に吸い付いて、もうそれはほんとにタコの吸盤のようだな、と思ってしまった。
最近は冷たい水風呂がブームとなっているが、本来の水風呂の気持ち良さを再確認できた。これが「みずのはごろも」か。
サウナはカラッと昭和スタイル。21世紀に情景を抱き、魂を燃やすかの如くその熱の高まりに思わず手を合わせた。
銭湯サウナは本当に良い。
豪華絢爛なホスピタリティー溢れる施設は、確かに満足度が高い。貴重な体験ができるし、新たな扉が開けることもある。
温度へのこだわりや、充実したアウフグースも、恍惚感を覚えずにはいられない。
ただ、ふとした時にそばにいてくれ、気兼ねなく通える有り難みは、何にも代えられない。
そこまで自宅からアクセスが良いわけではなかったが、おれにとっての吉の湯がなくなってしまったとしたら、上手く生きていけるか分からない、とすら思う。
光陰矢の如し、解散したバンドはもう見ることはできないし、10歳の息子の10歳は今この時にしかない。
おれは背筋を緩めることができなかった。
15分ほど入っていたが、心は冷え切っていた。今はただこの懐かしい香りのする空間を味わっていたい。
体は満足いくほど温まってはいなかったが、喉の渇きを感じたため一度水風呂へ。水を飲み休憩室。
ゲレンデのスキー板乾燥室のような、そこに石油ストーブがあっても全く違和感のない部屋。
まさにアサヒトレンド21を象徴する空間だと思う。
21世紀に向け、顧客満足度向上を図った末、ニーズに沿って作られた空間はその時代の流行を描いている。
アサヒトレンドは「廃業する」のだそうだ。
後継者問題や施設の老朽化は、避けては通れない。
ただ、この流行の象徴がいとも簡単になくなってしまうことにどうしても納得がいかず、サウナに立ち往生。2時間あっという間だった。
「流行は繰り返される」それを願ってやまないのは、俺だけじゃないはずだ。
ありがとう21
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