東急ハーヴェストクラブ那須(ホテルハーヴェスト那須)
ホテル・旅館 - 栃木県 那須郡那須町 宿泊者限定
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雨音の中のイオンウォーター
② ホテルハーヴェスト那須
フリー 4セット
5時過ぎに目が覚めた。
部屋には昨晩の焼き肉の残り香が漂っている。カルビというのは、食べているときは祝祭だけれど、翌朝になると少しだけ思想になる。胃も静かにもたれていた。
6時の大浴場が開くまで、僕はベッドの中でスマホをいじっていた。若者の強盗殺人や、プロ野球の監督が捕まったニュースを読む。世の中はずいぶん騒がしい。でも不思議なことに、それはどこか別の惑星の出来事みたいだった。少なくともこの部屋には、寝息と焼き肉の匂いしか存在していない。
みんなを起こさないように静かにサウナの準備をする。昨日、友人が売店でイオンウォーターを発見して冷蔵庫に入れておいてくれた。ネットでは「販売なし」と書かれていたやつだ。人類は月に行ったのに、サウナ施設のドリンク情報はまだ安定しない。あとでサウナイキタイを書き換えてやろうと思う。小さな正義だ。
大浴場までの導線で一度外に出る。雨が降っていた。
淀んだ空を見上げると、さっきまでの平和な気持ちは少し薄くなる。人間の感情はだいたい天気に弱い。
風呂へ向かう途中、トイレを探す。旅先で友人とトイレを共有するのは、なぜか少し後ろめたい。排泄には、どれだけ仲が良くても越えられない国境がある。
洗い場に腰掛け、強めの洗顔でむくんだ顔をどうにか人類側へ戻す。内湯の温泉で身体を温めながら気持ちを高める理由を探したけれど、特に見つからなかった。別に理由なんてなくても、人はサウナに入れる。
早朝のサウナはほぼ独り占めだった。
水風呂は昨日より冷たい。昨日の自分より、今日の自分のほうが少しだけ弱っているのかもしれない。
雨音を聞きながら外気浴をする。
曇った空に、森の緑だけが妙に鮮やかだった。まるで世界がそこだけ丁寧に塗り直されたみたいに。
男
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