Smart Stay SHIZUKU 品川大井町
カプセルホテル - 東京都 品川区
カプセルホテル - 東京都 品川区
テレワークの画面を閉じ、僕はさっと大井町へと向かった。目当ては「smart stay shizuku 品川大井町」。
首都圏ととのいラリーのスタンプも、これでようやく4つ目だ。開催期間中に、なんとかあと3つ、合計で7つのスタンプは集めたいところだ。それにしても、90分で800円という価格設定は、このエリアにおいて少し破格が過ぎるのではないだろうか。
ここのサウナを一言で表すなら、「シンプル・イズ・ザ・ベスト」だ。そこには無駄な機能が一切ない。サウナ室は静寂に満ちた完全な無音。けれど、時折作動するオートロウリュが勢いよく流れ込むと、そのコンパクトな空間は一瞬にしてぶわっと凶暴な熱気に支配される。
熱波の中で、僕はどうしても視界に入ってしまう一人の先客に気を取られていた。そのおじさんは、入った瞬間からずっと深く下を向いている。頭に血が上りやしないだろうかと余計な心配をしてしまうが、何より困ったのは、彼の下を向いた頭が12分計を完璧に塞いでしまっていることだった。
「時間がまるで見えない。頼むから少しだけ首を上げて、世界の時間を僕に返してほしい」
そんな、少し身勝手で切実な交渉を心の中で試みながら、僕は熱さを耐え忍んだ。ここには外気浴のスペースはない。けれど、整然と並んだ整い椅子に深く腰を下ろせば、余計なノイズが綺麗に削ぎ落とされる。気づけば、頭の中がすっきりと空っぽになるような「無の境地」が訪れていた。
サウナを終え、大井町に来るといつも吸い寄せられてしまう、近くの家系ラーメンの暖簾をくぐった。サウナの汗で失われた塩分を補填するように、濃いめのスープが五臓六腑に染み渡っていく。美味しい。けれど同時に、「こんな生活を続けていたら、いずれ高血圧という現実のロジックに捕まってしまうのではないか」という一抹の不安が、ピリ辛いスープの奥から顔を覗かせる。
ラーメン屋の引き戸を開けて外に出ると、夜の街に、心地よい風が通り抜けていった。外気浴の椅子はサウナ室の中に用意されていなくても、我が家へと続くこの帰り道そのものが、僕にとっては最高に贅沢な外気浴のステージなのだ。
目標の7つまで、あと3つ。
明日からの日常をサバイブするための燃料をチャージして、僕は静かに夜道を歩き進めた。
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