サウナ&カプセル キュア国分町
カプセルホテル - 宮城県 仙台市
カプセルホテル - 宮城県 仙台市
十二月の風が、国分町の喧騒を鋭く削り取っていく。
二十六日。世間が慌ただしく「仕事納め」の四文字を掲げるなか、私の仕事は午後二時にふっと幕を閉じた。例年ならデスクの片付けに追われている時間だが、今年は違う。私は夕暮れどき、いつものように「キュア国分町」のゲートをくぐっていた。
今年は、人生の舵を大きく切った一年だった。
林業という生業に飛び込み、私は今、木を伐って生きている。夏の山は地獄だった。茹だるような湿気と、肌を刺す虫の群れ。冬になれば一転、指先の感覚を奪う凍てつく寒さが牙を剥く。自然という巨大な生き物を相手にするなかで、自分のちっぽけさを思い知る日々だったが、幸いにも五体満足で今日を迎えることができた。その事実だけで、今の私には十分な報酬に思えた。
サウナ室の重い扉を開けると、濃密な熱気が全身を包み込む。
最上段に腰を下ろし、じわりと滲み出す汗を眺めながら、この一年の景色を反芻した。チェーンソーの震動、杉の地響き。すべてが熱に溶けていく。
「この後十八時から、熱波ロウリュサービスを開始します」
アナウンスが響いた。今日の担当は、あだちたくみ氏だという。その名に、私の胸が躍った。
今年の夏、山形の水沢温泉館で彼に初めて出会った。まだ仕事に慣れず、心身ともに疲れ果てていたあの頃。彼の振るう熱風は、沈んだ心を無理やり叩き起こしてくれるような力強さがあった。まさか、ホームサウナで再び彼にまみえることになるとは。
サウナストーンに水が注がれ、弾ける音が室内に響き渡る。あだち氏がタオルを振り回すたび、猛烈な熱の塊が私を襲った。けれど、それは一年の垢をすべて焼き尽くし、新しい自分へと生まれ変わらせてくれるための、聖なる儀式のようだった。
吹き出す汗とともに、一年分の疲れが流れ落ちていく。
色んな出会いがあった。厳しい自然に揉まれ、人の温かさに触れた一年だった。
サウナを出て、キンと冷えた水風呂に浸かる。来年もまた、健やかに、そして幸多き一年であればいい。
国分町の夜風は冷たかったが、風呂上がりの私の心には、消えることのない小さな焚き火が灯っていた。
コメントすることができます
すでに会員の方はこちら