森のサウナと、40度の水風呂

知り合いに、サウナに行くたびに全種類制覇して記録している人がいる。「今日はケロ三セット、からふろ二セット」と報告してくる。聞いていないのに。

その人のことを、どこかで微妙だと思っていた。

ウェルビー福岡で、森のサウナを三回おかわりしながら、ほかの三つも全部入りきった今夜、その人に謝りたい気持ちになっている。欲張りは遺伝子レベルの話だった。

今日は朝から動いていた。新下関を早朝に出て、唐戸市場、門司港、小倉、巌流島と巡った。小倉で桜を見た。白いお城と桜のコントラストが、息をのむほど綺麗だった。こういう瞬間に限って、言葉が先に出ない。DJでいえば、曲と曲のあいだの一瞬の無音。何かが鳴り終わって、次がまだ始まっていない、あの数秒。桜はいつもそれをやる。毎年わかっているのに、毎年不意打ちを食らう。

そういうものを一日分ため込んで、夜に博多に流れ着いた。

柄杓に水をすくって、石にかける。じゅっ。この一秒のために、今日一日かけて来た気がする。暑いだけのサウナは白湯だと思っている。ロウリュのある湿度と香りと、石に水をかける小さな儀式の総体が、魂
と呼ばれるなにかに届く。スペックじゃなくて、作法の話なのだ。

水風呂はシングル、5度前後。入った瞬間、幕が下りる。朝からため込んだ唐戸市場の喧騒も、小倉の桜も、全部いったん5度の水に沈む。問題が消えるわけじゃない。ただ、問題と自分のあいだに隙間ができる。
ちなみにここ、「40度の水風呂」というものがある。どう見てもお風呂だ。でも水風呂と呼ぶ。意地を張りながら現実に負けている。その綻びが妙に愛おしい。博多華丸さんの専用ロッカーもある。それだけでいい。

よく汗をかいた。ミネラルもビタミンも、たっぷり出た。寝る前にMINERALionとLypo-Cを補充する。出したものを入れ直す。それだけなのに、好きなんだこの儀式が。

明日の朝、体がどう答えるか。それが今夜の楽しみだ。
おつかれ、今日の私。新下関から博多まで、よく来た。森のサウナ、三回も。我ながら。

ペンネーム:湯気文吾(宮崎直哉)さんのウェルビー福岡のサ活写真
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