ゴルフの後に友人と立ち寄った南阿蘇の木の香湯。

正直、最近の新設温泉は「映えるだけ」で終わることも少なくないのだけれど、ここはなかなか本気だった。

まず露天風呂。

目の前に広がる阿蘇の山並みが、とにかくばっくんである。

「絶景」という言葉は便利すぎて乱用されがちだが、阿蘇の場合は空の大きさそのものが違う。東京で空を見上げると「空がある」だが、阿蘇では「空に包まれる」になる。

ゴルフでほどよく疲れた脚を湯に沈めながら眺める外輪山は、それだけで一種のご褒美だ。

そしてサウナ。

サウナ好きとして気になったのは、自動ロウリュの設定。

毎時10分・30分・50分に作動するタイプで、短い間隔で湿度を補給する設計になっている。これが実にいい。

最近は派手な大量ロウリュで体感温度だけを無理やり上げる施設も多いが、木の香湯は違う。

温度より湿度をコントロールする考え方で、息苦しさが少なく、発汗が自然に始まる。

サウナ室は3段構成。

最上段と下段でかなり体感が変わるので、その日の体調で選べるのも好印象だ。

さらに面白いのは窓。

サウナ室の大きな窓から阿蘇の景色が見える。

普通、サウナ室というのは自分との対話空間なのだが、ここでは阿蘇が勝手に会話へ参加してくる。

「まだ出るな」

と山が言う。

「いや、もう十分だろ」

と心拍数が言う。

そんな脳内会議が始まる。

そして水風呂。

表示温度は19℃前後だが、体感はもっと冷たい。

おそらく山間部特有の空気温と水質の影響だろう。

刺すような冷たさではなく、身体を締めてくるタイプ。

サウナー用語でいうところの「長く入れるやつ」である。

外気浴はさらに良い。

阿蘇の風は都会の風と違う。

都会の風は情報を運んでくるが、阿蘇の風は何も運んでこない。

だから脳が休まる。

出張続き、睡眠不足続き、多動気味だった頭のCPU使用率が、ここでようやく20%くらいまで落ちた気がした。

温泉の泉質は芒硝泉。

湯上がり後の保温感が長く続くタイプで、サウナだけでなく温泉そのものの完成度も高い。

ゴルフで身体を使い、友人とくだらない話をして、温泉に浸かり、サウナで汗を流す。

結局、人間を回復させるものは最新のガジェットでも生産性ハックでもなく、こういう時間なのかもしれない。

木の香湯は、単なる新しい温泉ではなく、

「疲れた大人を阿蘇が回収してくれる施設」

だった。

ペンネーム:湯気文吾(宮崎直哉)さんの木の香湯のサ活写真
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