出張続きで、睡眠不足で、頭だけが先に走っている時がある。

そんな時、人はつい「もっと頑張れば解決する」と思いがちだ。でも、だいたいそういう時に必要なのは新しいタスクじゃなくて、水風呂だったりする。

熊本の湯らっくすは、サウナ好きの間では有名な施設だけれど、行ってみると「サウナ施設」というより、疲れた現代人の再起動センターみたいな場所だった。

熱いサウナに入る。
深さ171センチの水風呂に沈む。
椅子に座る。

たったそれだけなのに、脳内で同時再生されていた100個くらいのタブが、ひとつずつ閉じていく。

特に名物の水風呂は面白い。普通の水風呂が「浸かる」ものだとしたら、湯らっくすの水風呂は「預ける」もの。阿蘇の天然水に身体を預けると、「考えるのはあとでいいから、今は冷えなさい」と言われている気がする。

そして気づく。

疲労というのは敵ではなく、ちゃんと生きた証拠なのだと。

私たちは疲れないために生きているわけじゃない。疲れるほど夢中になったり、走ったり、誰かのために頑張ったりする。その結果として疲れるのだから、本来は少し誇らしいものなのかもしれない。

湯らっくすの良さは、豪華さではない。

「休んでもいいですよ」

と施設全体が言ってくるところだ。

漫画を読んでもいい。
昼寝してもいい。
ご飯を食べてもいい。
何もしなくてもいい。

大人になると、「何もしない」が意外と難しい。

だからこそ、たまにはサウナに入って、水風呂に沈んで、自分を放っておく時間が必要なのだと思う。

帰る頃には、不思議と問題は何ひとつ解決していない。

なのに、「まあ何とかなるか」と思えている。

温泉やサウナの効能を医学的に説明することはできるけれど、本当の効能はたぶんそこだ。

人生は長い。

だから時々、解決することをやめて、回復することを優先してみる。

湯らっくすは、そのことを思い出させてくれる場所だった。

ペンネーム:湯気文吾(宮崎直哉)さんのサウナと天然温泉 湯らっくすのサ活写真
ペンネーム:湯気文吾(宮崎直哉)さんのサウナと天然温泉 湯らっくすのサ活写真
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