黄金湯
銭湯 - 東京都 墨田区
銭湯 - 東京都 墨田区
サウ後日記⑤
九月九日 晴天
朝七時半時、街と人々は魂の深淵ではまだ眠りに沈んでいた。
東京は錦糸町、街の喧騒を避けるようにして、裏路地へ足を踏み入れた所に佇む、下町情緒を残しつつも、モダンなデザインとアートが融合したコンクリートを打ちっぱなしにした壁が洗練されていて
ここだけが格調高き装いをまとった異界のように感じられる。
無垢な布に黒字の黄金湯と描かれた暖簾を
志を同じくする者たちと押し分けた。
天井高く木の香が、まるで聖域のように私達を迎えいれる。
支度場で、裸の自我を晒し
聖域に足を踏み入れる、體を清め
熱と木の香の聖域に最大の敬意を示すのである。
熱の庵に足を踏み入れると、約一〇五°ほどの熱気が皮膚に突き刺さり、ヒバの木の薫りが嗅覚を優しく包みこむ、十五分ごとに自動で振りかけられる水が石に触れ、蒸気となって室内を満たす。
その熱はまるで魂に注がれる洗礼のようであった。麦飯石からの熱が容赦なく肌を灼きつき、汗は額から滴り、體の緊張を一つずつ剥ぎ取る。
耐えきった後に水風呂へ身を投じると、十六℃の氷刃のような冷気が刹那に全身を貫き、冷気を含んだ呼吸が鼻を通り抜ける。
外気浴の椅子に腰を下ろすと、朝の風が肌を撫で、都市の雑踏も遠く幻のように感じられる。
アスファルトジャングルの中に生まれる静かな至福の儀式である。
精神の迷宮を駆け抜ける理念、頭の奥で思想が交錯する。
しかし意識を手放す
イデオロギーなんてどうでもいいのだ。
背中に宿る意思が熱の庵に再び男達の手が掛かるのであった。
サ島氏また行きましょう
諸兄、また御足並みを揃えさせて頂きます
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