サ島湯気夫

2025.10.20

1回目の訪問

サウナの告白①

曇天

東京は港区PARADISE
港区という街は、常に人間の虚栄と成功の匂いを撒き散らしている。
夜風に晒され、秋の肌寒さが季節を感じる
街路には突如として酒の匂いを孕んだ灯火が羅列している。
かつてこの地に湯屋「万才湯」があったという。
その古き名残を剥ぎとり、代わって現れた
このPARADISEという響きが、私にはどこか背徳の匂いを孕んで聞こえた。
不釣り合いの中に蒼い暖簾に横文字のPARADISEと表記された暖簾を潜る。
木の温かみを感じるカウンター越しに
静かに佇む女性従業員に説明を受ける
湯屋と思えぬほど現在的なシステム化された儀式で入場する。
現代のシステムとは、誰一人として掌握していないのに今の我々はQRコードという象形文字に黙って服従するだけである。

支度場の暖簾を潜る。
時代を閉じ込めたアンティークの一室が鮮明に目の前現れる。
更にロッカールームへ進む
そこにはまた別の時代に移行した様な気分である
浴場は江戸時代の様な装いである。

體を清め、熱の庵に中に出陣する為のサウナハットが
甲冑の兜を被るかの如く心情に映る。
扉を押すと、むっとする熱気が頬を打った。
そこには、沈黙の中に潜む共同体があった。裸の男たちはそれぞれの沈黙に勤しみ、汗に濡れた肌がまるでオーギュスト・ロダンの彫刻の様に輝いていた。
90度ほどのドライサウナの熱は、心の溜まった邪気を焼くには充分であった。皮膚が痛みを超えて甘美な痺れへと変わるとき、私は一瞬、自分の肉体が他者のもののように感じられた。
ロウリュの始まりを告げる声を響かせる。
それは合図ではなく、儀式の鐘であった。
木製の杓で水を掬う。
熱のこもった空間は一瞬、呼吸を潜める。
――ジュッ。
その音が、私の鼓膜を貫いた。
白い蒸気が爆ぜる。熱が生き物のように這い、私の胸を、頬を、唇を焼く。
懺悔にも似た浄化であり、あるいは破滅の前触れであった。

やがて、視界が歪む。
汗が瞼を伝い世界は曖昧な光の中に溶けてゆく。
本能的に意思と共に体の芯から自然に立ち上がり
熱の庵に背を向ける。
水風呂に身を預ける。
14度程の冷水が、刃のように皮膚を裂いた。
だが、その痛みの奥に、何か透明な幸福があった。
皮膚は三味線の弦のように震え、全身がひとつの音を奏でる。
私はその音の中に沈み、静かに冷たい息を吐いた。
整いの地に向かう為に木製の威厳のある階段を踏み締める。
畳が一面に広がり、点々と置かれた整う椅子、長椅子が置かれている。
隅の一畳ほどの畳に大の字に體を預けて泥の様に溶けていく。
港区の地で、私はこの都市の底の「楽園(パラダイス)」に触れたのかもしれない。

サ島湯気夫さんのPARADISEのサ活写真
サ島湯気夫さんのPARADISEのサ活写真
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2025.10.22 00:49
0
今回もまたサ島節が秀逸ですな
2025.10.22 05:44
0
白濁パラッソス 白濁パラッソス さんに37 ギフトントゥ

諸兄、感謝の念に堪えません
ログインするといいねや
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