PARADISE
温浴施設 - 東京都 港区
温浴施設 - 東京都 港区
サウナの告白②
晴天
再び東京は港区PARADISE
港区の夜を切り裂くように聳える硝子の塔の下、その碧に染められた空間は、依然として美しかった。
このサウナを再び訪れた。
前回よりも、いくらか慣れた指先で、スマートフォンを掲げた。
液晶の青の光が、静寂の中で微かに頬を照らす。
画面の中央に浮かぶQRコードは、どこか神聖な印章のようで儀式の入口であることを思い知らされる。
受付の青年は淡々と頷き、ロッカーキーを差し出す。
その所作には、かつての人間的な温もりがある。
衣服を脱ぎ、支度場で流れる噺屋の声に耳を傾ける。
支度場から浴室への扉をあける、
まるで秘密の庭への誘いのように、訪れる者の感覚を研ぎ澄ます。浴室の中央に配された緑の植栽は、生命の密やかな鼓動を象徴し、その周囲の切り株の椅子は、静かに座する者の体をそっと抱擁するかのように映る。
體を清めた後に、
甲冑の兜を纏うが如く、サウナハットを頭に被りタオルを顔に巻き、熱の合戦へ出陣する。
熱気は戦場の炎の如く、瞬時に全身を包み込み、汗腺という名の兵が、一斉に覚醒する。木の床は戦馬の蹄跡を受け止める大地の如く、踏みしめるたびに体中の緊張が研ぎ澄まされる。
石造りの陣地から熱風が静かに渦を巻く。
私は刀を振る様に杓で香油水を掬い、炎のように熱せられた石にそれを注ぐ。
その瞬間、蒸気は烈火の如く跳ね上がり、空間を支配する。熱気は兵士の胸を打つ戦鼓の音の如く、胸を震わせ、皮膚の感覚を鋭敏に叩き起こす。
蒸気が一斉に立ち込める度に、胸中の士気は高まり、無言の誓いが全員に伝わる。
熱気の戦場を後にする。扉を開けるとまるで敗北を知った武士のように静かに歩を進める。
水風呂に身を沈めるその瞬間、熱の刀を浴びた體は冷気に再び目覚め、精神は鎧を纏った如く鋼鉄のように堅固となる全身を支配する冷気の旋律は、戦場で昂ぶる心を極限まで研ぎ澄ます。
水風呂の温度は14℃と11℃の二つあり
熱で焼かれた體を一瞬にして、體の全ての組織、毛細血管、骨身を引き締める。
水風呂で冷えた身体を慣らしながら、私は静かに階段を踏みしめる。木の冷たさが足裏に伝わるたび、戦いの熱が体内に深く沈殿し、筋肉は微かに震え、心臓はまだ戦の余韻に高鳴る
畳の上で目を閉じれば、心は静かに整い、体は戦で削られた力を取り戻す。
戦いの熱と静謐の冷気が交わる極限の余韻が、魂の奥深くに刻まれるのだ。
まだ夜の沈黙を抱く港区の奥深くに漂う
ネオンや街灯の光は徐々に溶け、ビルの窓ガラスに映る夜の影が薄れ
東の空がわずかに白みを帯び始めるのであろう。
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