湯屋サーモン
銭湯 - 北海道 札幌市
銭湯 - 北海道 札幌市
湯屋サーモン
外観だけ見れば、「昭和から時間が止まった銭湯ですね」で終わる。派手なネオンも奇抜な意匠もない。二世代前の、ごく普通の銭湯だ。中へ入っても同じで、無駄がない。必要なものだけが、必要な場所にある。最近の高級温浴施設が装飾を盛るばかりなのに対し、ここにはランドローバー・ディフェンダーのような「風呂とはこういうものだ」という潔さがある。
だが、この施設が本当にすごいのは建物ではない。企業努力だ。
世界経済は、アメリカの金髪の大男が思いつきでハンドルを切ったせいで、高速道路の中央分離帯に突っ込んだ中古車みたいな有様だ。そんな時代に湯屋サーモンは言う。
「500円です。」
「サウナは100円です。」
聞き間違いではない。ワンコインで風呂、百円でサウナ。最近の高級サウナが「これは宿泊費ですか?」という値段を付ける中、この価格はもはや慈善事業である。
湯も良い。柔らかく疲れを溶かし、水風呂は修行と拷問の境界を知っている。露天風呂は40度前後で、熱すぎずぬるすぎず、「あと5分」が30分になる危険な温度だ。
そしてサウナ。見た目は普通だが、30分ごとのロウリュが油断した人間から順に後悔させる。蒸気は「少し暖かい」ではなく、灼熱の機関車が突っ込んでくる熱だ。それでも不快ではない。絶妙に止める。
締めは熱波師のアウフグース。熱波甲子園が何かはよく分からないが、あのタオルには「客を楽しませたい」という情熱がある。だから風呂を出る頃には思うのだ。
「まあ、明日も働くか。」
サウナが疲れを取ったというより、本気で仕事をする人を見るとこちらまで元気になる。いつか誰かに運転を任せて来たい。風呂上がりに冷えたビールを一杯、湯気の残る体で焼き鳥を頬張る。天国に高速道路のサービスエリアがあるなら、きっとこんな場所だ。
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