ぽち

2026.04.22

15回目の訪問

24時を少し回った頃、僕はいつものようにサウナの扉を押した。そこには「会話厳禁」と書かれた小さな掲示があった。簡潔で、曖昧さのない言葉だ。でもその夜、その言葉はまるで別の言語で書かれているみたいに、そこにいた“サルたち”には届いていなかった。

サルたちは静かにできなかった。いや、できないというより、する気がないように見えた。ときどき、なぜサルたちは簡単なルールを守れないのだろうと考えることがある。理由はたいてい複雑そうに見えて、実際は驚くほど単純だ。たぶん、そのどちらでもないのかもしれない。

テレビの前で一匹のサルが笑った。その笑いは湿度の高い空間に広がり、すぐに溶けていった。少なくとも彼らには、映像を理解するだけの力はあるらしい。それがわかっただけでも、小さな発見だった。

僕は少しだけ疲れていた。理由はうまく説明できない。ただ、このサルたちのいる場所に長くいるべきではないと感じた。だから立ち上がり、水風呂へ向かうことにした。

そのとき、一匹のサルがほとんどためらいもなく水の中へ飛び込んだ。音がして、水面が揺れた。その瞬間、時間がほんの少しだけ歪んだ気がした。子供ですらしないことを、サルは平然とやってのける。世界はときどき、そういうふうにして僕の理解を軽く追い越していく。

僕は何も言わずにその場を後にした。夜の空気は思ったより冷たく、少しだけ現実的だった

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