GREENITY IWATA
ホテル・旅館 - 静岡県 磐田市
ホテル・旅館 - 静岡県 磐田市
雨模様の土曜日、灰色に覆われた空を仰ぎながら、私はグリニティイワタへと車を走らせた。休日の楽しみとしてここを訪れるのは、もはや習慣であり儀式のようなものだ。
ちょうど日帰り入浴の利用が始まる10時に合わせて到着する。館内に足を踏み入れた瞬間、静けさに包まれる。この地に流れる時間は、他のどこよりも緩やかである。
今日の男湯はSora。
白く曲線を描くその浴室は、名の通り空を模しているかのようだ。けれど今日は快晴ではなく、雨粒が屋根を叩き、窓を曇らせている。そのせいか、光は柔らかく拡散し、浴室全体が淡い乳白色の靄に包まれているように見えた。週末だというのに人影は少なく、浴槽の湯面は波立つことなく静かだ。私がここに惹かれる理由のひとつは、まさにこの「静けさ」にあるのだろう。
湯に身を沈める前に、まずはサウナ室へと向かう。
そこはテレビも音楽も存在しない、徹底した無音の空間だ。木の香りだけが漂い、時折ストーブが発するかすかな熱の唸りが耳に届く。人の声が混じらないその静けさは、単なる沈黙ではなく、むしろ言葉を超えた深い音楽のようだ。
じわじわと汗が滲み、やがて流れ落ちる。体の表面から無駄なものが剥がれていくようで、心まで軽くなる。
火照った体を冷ますのは、地下水の水風呂。
磐田の地層を幾重にもくぐり抜けてきた水は、ただ冷たいだけでなく、どこか柔らかな包容力を持っている。刺すような冷たさではなく、深い静謐に抱かれる感覚だ。水に沈んだ瞬間、体内の熱が吸い取られ、意識までも透き通っていく。
そして外気浴。
雨粒が頬を打つのをそのまま受け入れ、椅子に身を預ける。普段ならば避けるはずの雨が、この瞬間だけは祝福のように感じられる。不規則に降りかかる冷たさが、むしろ生命のリズムを思い出させる。灰色の空と、濡れた植栽の緑が目に鮮やかで、日常の中に潜む「非日常」が静かに姿を現す。まるで世界が静かに息を潜め、私だけを包み込んでいるかのようだ。
ここにいると、日々の喧騒や細々とした憂いが、雨に洗い流されるかのようだ。グリニティで過ごす時間は、特別な出来事ではない。だがその平凡さこそが、私にとっては確かな贅沢であり、救いである。浴槽に映る雨粒の揺らぎを眺めながら、私は心の底からこの場所に来てよかったと思う。
帰り際、館内に漂う湿った木の香りを胸いっぱいに吸い込み、外に出る。依然として雨は降り続いていた。
しかしその雨はもう、朝方に見た陰鬱さを失っている。代わりに、私の中で新しい一日の始まりを告げる合図のように思えた。
日常のただ中で見つけた非日常。
グリニティイワタは、いつもその境界線をそっと開いてくれる。
また明日も此処に来る。それではまた。
以上
男
駐車場から館内の間は傘をさすのに、傘もささずに敢えて全身で雨を浴びる外気浴。心が洗われるような爽快感ですよね。
コメントすることができます
すでに会員の方はこちら