GREENITY IWATA
ホテル・旅館 - 静岡県 磐田市
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2月1日の日曜日。今日から2月。
私はグリニティイワタのエントランスで、ちょっとラグジュアリーなアロマに迎えられた。
鼻から吸い込んだ瞬間、脳内の「明日から仕事」フォルダがいったんゴミ箱に移動する。
受付を済ませ、レンタルタオルとカードキーを握りしめて浴室へ向かう。タオルセットの重みがいつもより誇らしいのは、たぶん私が勝手に“休日VIP”を名乗っているせいだ。
本日の男湯はSora。
白くて曲線がやさしい空間は、角の立った心まで丸くする。
鏡に映る自分まで明るく見えて、「これが照明の力…」と感心する。
まずはオリジナルのシャンプーとボディソープで身を清める。泡立ちが良すぎて、反省までモコモコにして流してくれるのがありがたい。ここに来ると急に所作が丁寧になるのも不思議だ。
家ではタオルを放り投げるのに、ここではそっと畳む。人間、雰囲気に弱い。
そして真っ黒なモール泉。
湯船の底が見えないくらい黒いのに、とろみは美容液みたいで、体が「溶ける準備できました」と正直になる。
肩まで沈めると、芯に熱が灯り、呼吸が深くなる。
黒い湯に浮かぶ私は、もはや“煮込み中の自分”である。
温まったところでサウナ室へ。
床、壁、天井に木が張り巡らされたひょうたん形。室温は80℃手前でも湿度が高めで、汗は早出出勤してくる。
テレビも音楽もない無音の空間で、聞こえるのは自分の心拍だけ。静かすぎて、人生の優先順位が一瞬で並び替わる。
水風呂は地下水、水温17℃くらい。
やさしい肌触りなのに頭はキリッと。
外気浴は強めの風で、月曜の予定表が白紙に見える。
外気浴の椅子に腰を下ろすと、風が耳たぶをつまんで『現実に戻れ』と軽く注意する。けれど目を閉じれば、木の香りと地下水の冷たさがまだ体内に残っていて、呼吸のたびに小さな幸福が膨らむ。サウナ→水風呂→風の三段活用で、頭の中の会議は全会一致で散会。最後の一湯で黒い湯に包まれながら、私は来週の自分へ“がんばれ”ではなく“無理すんな”とハンコを押した。
仕上げに再びモール泉へ沈み、私は元の人間に戻った。
明日から仕事?うん、たぶん大丈夫。たぶんね。
帰り際、アロマが「また来週」と囁く。私は心の中で素直にうなずいた。
湯上がりに脱衣所で髪を乾かしていると、鏡の中の私は少しだけ若返って見える。気のせいでもいい。タオルセットに感謝しつつ、カードキーを返却する頃には、ゴミ箱に入れたはずの『明日から仕事』が“復元しました”と通知を出す。
それでも今夜は、Soraの白さをお守りにして眠れる。
帰り道の空気は冷たいのに、体の内側はまだ黒湯の余韻であたたかい。強風が吹く冬の景色すら優しく見えるのだから不思議だ。
以上
男
コメントありがとうございます。 とろみがあって肌に馴染む感覚がありますよね。色が濃いのも効能がいかにもありそう、って感じが好きです!
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