回収するわたし|アンパンマンが復元されるまで
サウナイキタイアドベントカレンダー 6日目の記事です。
働く母の私は、一日の終わりには、だしパックみたいになっている。味は全部どこかに渡ってしまって、よれた袋と、味のしない、だし殻だけが残る感じ。
出涸らしが銭湯に行くと、ふっくら焼きたてパンになって帰ってくるはなし。
この生活は、いつも両手いっぱいだ。
仕事、娘たち、猫と夫。
どれもちゃんと大事で、どれもひとつ置けない。処理能力を超えていると気づいているけど、走れるだけ走っている。
あっという間に終わりかける一日を惜しむように、銭湯へ向かう。消耗したままで、一日を終えるのは惜しい。
最初はまだ、あれやこれで頭のなかがうるさい。でも、がしがし頭と体を洗って、熱い湯に沈むと、タスクの解像度がゆっくり下がっていく。
サウナに入る。熱に包まれると、頭の中に余白が広がりだす。
「あつい」
「汗」
世界が、それだけになる。
水風呂に沈む。呼吸が冷気を帯びる。さっきまでの雑念の数々が、霞んで消える。
散らばっていた思いが、自分に回収されていく。出がらしのだしパックが、ちゃんと「人間」に戻る。
水風呂に、最初はつかれなかった。でもある日、新大久保のルビーパレスの、やさしい20℃の水風呂で、するっと入れた。水には包容力があるなと肌身を持って気がついた体験だった。
別の日。娘を連れて遠くの銭湯へ行った。
さっき、別の親子に注意をしていたおばちゃんが、わたしたちに近づいてきた。 一瞬、身構えた。
でも、その人は言った。
「かわいいこだね」
そう言って、ミルクの国をくれた。
娘が「もらっていいの?」という顔でこちらを見る。場違いな飴が風呂場の蛍光灯に照らされて光り、白昼夢のようだった。
「ありがとうございます」と笑顔で受け取った。
サウナを終えて髪や肌の手入れをして店の外に出ると、もれなく機嫌がよくなっている。また周りをケアできる余裕が戻っている。
私には「ととのう」より、「自分の回収」の時間なんだと思う。
銭湯って、ジャムおじさんのパン工場みたいだ。出がらしの私はここで焼きなおされて、また皆に配れるくらいにはふっくらと回復する。
ミルクの国、またどこかで会えるといいな。
パンになった顔をそっと触りながら、帰り道を歩いた。
日々おつかれさまです。
あんばんでダシ取るっちゅうことは おしるこ になるのかな🎄
とても印象に残る記事。サウナで生まれ変わって帰る感に、メッチャ共感します。
同じく出涸らしになっている1人です。 ものすごくわかります!
銭湯がジャムおじさんの🍞パン工場❗️ なるほど🧐。 毎日お疲れのようですが頑張ってください☺️
ふっくらアンパンマン素敵です^ ^僕は今しか行けない小さな娘との銭湯が癒しになってます✨
私のことが書かれているのかと思ってしまいました😆 私のところは子どもたちは二人とも成人しているし、夫がいないという違いはあれど、仕事で一日中フル回転以上に働いて働いて、疲れ切って出がらしになった心と身体を銭湯のお風呂とサウナで元に戻し、いい気分で帰宅する⋯もう、共感の嵐でした。ルビパの水風呂、魔法ですよね✨私も久しぶりに行きたいな。銭湯とサウナに癒されながら、頑張っていきましょうね🤗
毎日お疲れ様です🙇神戸サウナの元支配人の津村さんも『どんな人もサウナで蒸されてサウナ室の扉を出た瞬間に、新たな自分に生まれ変わる事が出来る』と仰られておりました。銭湯・サウナにはこれからも助けてもらいましょう👍
サウナで回復するのは体だけじゃなくて、もっと心の奥底から湧き上がる何かだと思っているので、すごく共感しながら読みました!